岸田文雄首相は12日の衆院決算行政監視委員会で、マイナンバーカードを巡る相次ぐトラブルについて「重く受け止めている」と陳謝した。その上で、現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、「マイナ保険証」に原則一本化する方針に変更はないと明言した。
首相は、健康保険証の取り扱いに関し、「来年秋の廃止に向けて取り組んでいく」と強調。廃止を主導した河野太郎デジタル相の更迭を求められたが「引き続き職責を果たしてもらいたい」と拒否した。
マイナカードの個人向けサイト「マイナポータル」で他人の年金記録が閲覧可能となっていた問題については「年金の支給額に影響はない」と釈明。「関連データの総点検、再発防止策を公表するよう関係閣僚に指示した」と明らかにした。立憲民主党の柚木道義、米山隆一両氏への答弁。
この後の参院決算委員会でも、首相はマイナカードの意義に触れ、「社会をデジタル化する上で重要なインフラであり、普及に努めないといけない」と述べた。立民の小沼巧氏への答弁。
一方、河野氏は「いろいろな事案で迷惑をかけているが、マイナンバー、マイナンバーカードの仕組みに起因するものは一つもない」と述べ、システム自体に問題はないとの認識を示した。共産党の田村智子氏への答弁。
首相が掲げる「異次元の少子化対策」の財源確保に向けた歳出改革を巡り、田村氏は社会保障給付を削減する考えがあるのかと追及。首相は「歳出改革には医療提供体制の効率化や介護分野でのIT活用などが考えられる。具体的な改革工程表を策定し、全体で国民負担の軽減を目指したい」と説明した。