防波堤を利用した有料釣り施設、苫小牧港・東港の通称・一本防波堤は4月から2シーズン目の運用が始まり、土日・祝日に有料開放している。「釣り文化振興モデル港」という国のお墨付きをもらっての道内唯一の取り組み。運営する社団法人「苫小牧港釣り文化振興協会」の明村亨会長に事業や今季の展望を聞いた。
港湾管理者の許可を得て防波堤を有料釣り場として運用する事業では、いわば道内のトップランナー。運営は当然、手探りで始まったが、「1年目の2022シーズンは計画の2900人に対し2838人が入港(来場)した。9月の3連休が荒天に見舞われなければクリアできた」と確かな手応えをつかんだ。「昨季の当初は釣果も見通せなかったが夏には数え切れないほどのサバ、フクラギ、大物はブリ級のハマチも上がった。いい思いをした人が今季、リピーターとして通ってくれている」と話す。
うれしいのは「女性グループが予想以上に来てくれること。聞くとトイレがあり、救助艇があり、監視スタッフが常駐するから安心して楽しめると話してくれた」と言う。女性や高齢の夫婦など、老若男女の幅広い層の人たちが釣りを楽しむ。安全と安心と無事故を”旗印”にする団体の活動が評価されている証しと言える。
自身も無類の釣り好き。子どもの頃から海と川の両方で釣りを楽しんできた。多くの人に釣りの魅力を伝え、地元勇払の振興を願う思いから釣り防波堤の運営団体の仕事を引き受けた。「運営の在り方はまだ発展途上。協賛企業の募集や会員制の検討なども安定的な運営、事業の充実に向けた課題の一つ」との認識。会員特典で限定開放日の設定や大会などの取り組みも今後は検討材料になる。
今季は4魚種の大物記録を競うダービーを始めた。夏には親子釣り教室の開催も計画中。一方、レンタル品の充実は検討課題だ。初心者向けに釣り具を貸し出すなら、釣りガイドやインストラクター、ボランティアスタッフの導入なども考える必要がある。「やりたいことはいっぱいある。一つ一つ問題をクリアしていきたい」と話した。
今季は4月1日から開放しており、同月の入港者は261人、釣果もクロガシラ、アブラコ、ソイなど平物、根魚ともにまずまず。5月下旬からは遅れ気味だったサクラマスの岸寄りが本格化した。BSの釣り専門チャンネル「釣りビジョン」の番組ロケ取材班も訪れるなど、注目度、認知度が高まっている。