経済産業省は30日、半導体と人工知能(AI)など情報処理関連分野の産業政策の方向性を示す「半導体・デジタル産業戦略」の改定に向けた最終案を有識者会議に示した。デジタル社会を支えるデータセンターについて、整備費用を補助する地域に北海道と九州を挙げた。東京圏と大阪圏に8割以上が集中するデータセンターの分散立地を促し、大規模災害に備える。費用の半額を補助する方針だ。
デジタル化の加速で、データセンターで処理が必要な通信量も増加が見込まれる。北海道と九州は再生可能エネルギーの発電量が多く、電力消費量が多いデータセンターの適地になると見込んだ。整備補助費として、2023年度から4年間で総額455億円を計上する。
戦略の改定は、21年6月の策定後初めて。最終案では、国内で半導体を生産する企業の売上高を30年に合計15兆円超と、20年の3倍に引き上げる目標を掲げた。今後10年間で官民合わせて10兆円超の追加投資が必要との試算を示し、大規模支援が不可欠と指摘した。
文章や画像などを自動で作成する「生成AI」については、官民で有志国と連携し、国内でAI開発力の強化を支援していく方向を示した。AI人材育成にも取り組む。