安平町追分地区が誇る特産品「アサヒメロン」の初競りが9日、札幌市中央卸売市場で行われ、「秀」1ケース(5玉入り)で50万円の最高値が付いた。22万円だった昨年の2倍を超える史上最高額。市場関係者は、新型コロナウイルスの5類移行などで人流が戻り、土産品の需要が高まったことが要因とみている。とまこまい広域農業協同組合(JAとまこまい広域)は今季、生産数量5万9800ケース(478トン相当)、売り上げ2億5800万円を目標に掲げている。
今季の初出荷は昨年より2日遅い8日で、ほぼ平年並み。出荷量は昨年よりやや少なく、小玉が多かったことも「秀」の最高値を押し上げた。
町内追分の農家、林出一樹さん(49)と新井真人さん(52)が生産した4~8玉入りの「ルピアレッド」計67ケース(1ケース8キロ)を持ち寄った。このうち林出さんは「4月下旬は昨年より日照不足で、最終段階で苦労した」が、何とか収量を確保。追分花園の野菜集出荷場で品質検査などを行い、糖度は最高15・6度と高めだった。
同地区では「ルピアレッド」などを栽培。同農協によると、昨年は1ケース当たりの平均単価が4700円と前年より高く、売上実績は2億6600万円に上った。今年は新規就農2戸を含む25戸が26ヘクタールの畑で10月末まで収穫作業を予定。その一方で肥料や資材の物価が高騰しており、生産者の利益率低下が課題となる。
初出荷に先立ち、追分アサヒメロン組合の安井貴志組合長は「新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類へ引き下げられたことで、販売も明るい方向に向かえば。安心安全なメロンを消費者に届けたい」とあいさつ。駆け付けた及川秀一郎町長は、町内で行われるイベントの通常再開に向けて「メロンをはじめ安平町の特産品を提供、販売していきたい。新規就農した新たな仲間と共においしいメロンを届けて」と期待を寄せた。