【ニューヨーク時事】米カリフォルニア州を地盤とする中堅銀行のファースト・リパブリック銀行が1日、経営破綻した。連邦預金保険公社(FDIC)は同行を管理下に置いた。米大手行のJPモルガン・チェースが、ファースト銀の大部分の資産を買収し、全預金を引き継ぐ。3月のシリコンバレー銀行(SVB)破綻以降の信用不安を背景とした多額の預金流出が判明し、経営不安が再燃していた。
米銀の破綻は3月以降、SVB、シグネチャー銀行に続き3行目。資産規模でSVBを上回り、リーマン・ショック後では最大、米史上でも2番目の規模の銀行破綻となった。スイス金融大手クレディ・スイスの経営危機に発展した米国の信用不安が依然、収束していないことが浮き彫りとなった。
FDICによると、ファースト銀の全84店舗は1日午前から、JPモルガンの支店として営業する。預金保険の上限(25万ドル=約3400万円=)を超える分も含め、ファースト銀の預金全額を買収するため、全預金が保護された。JPモルガンは、ファースト銀の住宅ローンを含む不動産関連融資で損失が発生した場合、FDICがその一部を負担する契約を結んだ。
今回の破綻処理による預金保険基金の負担額は130億ドル(約1兆7800億円)の見通し。
ファースト銀は1985年設立。昨年末時点での資産規模は全米14位。富裕層向けの資産管理業務を手掛け、不動産関連取引も多い。
3月の信用不安により、約1000億ドルの預金が流出。穴埋めのため、連邦準備制度理事会(FRB)などからの高金利の資金を頼ったことで、収益性が悪化したことも明らかになった。
JPモルガンを含む米金融大手は3月、計300億ドルの預金を預け入れる資金支援をした。米メディアによると、ファースト銀は、さらなる支援を求めたが、まとまらず、民間主導の救済は断念。FDICは、ファースト銀の競売を実施し、公的管理後の売却先の選定を急いでいた。