文部科学省は28日、2022年度の教員勤務実態調査の結果(速報値)を公表した。中学校教諭の36・6%が過労死認定のラインである週60時間以上働いていることが判明。前回の16年度調査と比べると、長時間勤務する教諭の割合は減ったが、同省は「依然として多く、改善が必要だ」と指摘。今後中央教育審議会(文科相の諮問機関)で対策を検討する。
調査は全国の公立小中学校を1200校ずつ抽出し、22年8、10、11月にそれぞれ7日間の勤務時間を質問。小学校は、1191校の教諭や校長ら計1万7762人、中学は1186校の計1万7477人から回答を得た。調査は4回目。
教諭の所定勤務時間は1日7時間45分。速報値によると10、11月の平日1日当たりの平均勤務時間は、小学校で前回比30分減の10時間45分、中学で31分減の11時間1分だった。
週60時間以上働く教員の割合は、小学校が14・2%(前回33・4%)、中学が36・6%(同57・7%)。これが2カ月続くと、厚生労働省が定めた過労死の労災認定の目安を上回る。
文科省は、教員や学校支援スタッフの増員と部活動の見直し、情報通信技術(ICT)導入などの働き方改革が改善に一定の効果があったと分析しつつも「まだまだ残業を減らさないといけない。忙し過ぎれば健康を損ない、教育の質を下げることにもなる」(省幹部)としている。
1日当たりの勤務時間を業務内容別に見ると、「授業」が小学校で7分増の4時間13分、中学で11分増の3時間16分。新型コロナウイルス対策の健康観察を行うため、「朝の業務」が小学校で6分、中学で7分増えた。「学校行事」「成績処理」は小中とも減少。中学は土日の「部活動・クラブ指導」が40分減り1時間29分だった。