岸田文雄首相の遊説先で起きた爆発事件で、威力業務妨害容疑で逮捕された無職木村隆二容疑者(24)が投げ込んだ爆発物に、ナットのような部品が複数取り付けられていたことが19日、捜査関係者への取材で分かった。和歌山県警はナットを飛散させることで殺傷能力を高めようとした可能性もあるとみて、殺人未遂容疑も視野に爆発物の詳しい構造を調べる。
現場から約60メートル離れた場所にあるコンテナに、破片が当たってできたとみられる穴が開いていたことも判明した。
捜査関係者によると、投げ込まれた金属製とみられる筒の外側には導火線のようなひもがあり、ナットとみられる複数の部品が取り付けられていた。筒の中に火薬を入れて密封し、着火する「パイプ爆弾」の可能性があるという。
筒本体は爆発地点から約40メートル離れたいけすを覆うネットの上で見つかり、近くの倉庫の壁がへこんでいた。さらに約20メートル先のコンテナには、破片が突き刺さったとみられる穴が開いていた。いずれも約200人いた聴衆を飛び越したとみられる。
木村容疑者宅の家宅捜索では、火薬とみられる粉末や金属製の筒などが押収され、県警は爆発物を自作した可能性もあるとみている。所持していたリュックからも、粉末が入った小瓶や液体入りの水筒、ライター、金属板が見つかり、事件との関連を調べている。
木村容疑者は逮捕後、黙秘を続けている。