アイスホッケーアジアリーグレッドイーグルス北海道の菅原宣宏監督が3月末で退任した。新型コロナウイルスによるリーグ運営の変化や95年の歴史を持つ実業団からのクラブ化―。激動の4シーズンを「いいチームに育ってくれた」と振り返った。
苫小牧市出身の菅原さんは、1994年に王子製紙アイスホッケー部に入団。DFとして14季プレーした後に引退、2010年からは母校・駒大苫小牧高のアイスホッケー部でコーチを務めた。17年に王子イーグルスへコーチとして戻り、2季を務めて監督に就任した。
退任を伝えられたのは3月27日、韓国でのプレーオフファイナルから帰国した日だった。「年々、この仕事の難しさを実感していた。コーチ時代は監督の意に沿うよう選手を向かわせていたが、監督になると多方面との押し引きが必要だった」。選手たちへは30日のシーズン終了報告会後に告げたという。
在任中、アジアリーグとして開催されたのは1年目と4年目の2季のみ。「HLアニャンと4シーズンやりたかった」悔しさも残る。ジャパンカップとして開幕した2年目の2020~21シーズンは実業団として迎える最終年で「95年の歴史に幕を下ろすため、何としても優勝しなければという責任があった」と回顧する。
レッドイーグルス北海道として船をこぎだした3年目も、コロナ禍の収束のめどは立たなかった。「クラブ化による選手の動揺を抑えるのに必死だった」と話し、常に見えないものと戦い続けた4年間だった。
選手たちには常に「憧れの存在になること」を強く求めた。「監督就任時、『この集団を大人の集団にする』と宣言した。その目標を達成できたのはこの4年間の収穫だと思う」。コロナ禍や不景気の中で、何のためにアイスホッケーをするのか、いかに苫小牧市民に元気や笑顔を与えられるか―。つらいときに立ち返れるよう、チームの大義を明確にしながら指揮を執ってきた。
今後は「全くの未定」。この4年間は一度も家族で外食できなかったといい、「みんなでゆっくり食事に行きたい」と頬を緩めた。