今年は春の訪れが早いようです。苫小牧市樽前の周辺にはたくさんのハンノキが茂っていて、すでに雄花が垂れ下がり、間もなく花が咲きそうです。ハンノキの花が咲き、コブシの花が咲くと本格的な春へ向かいます。
先日は友人たちと樽前ガローへ散策に出掛けました。森の中はまだ少し雪が残っていましたが、草花は芽を出していない時期なのでとても歩きやすく、木々の見通しも良いため、上流方向へ樽前川に沿って進めば散策路を探さずとも迷わずに散策ができます。
この日、細い道を発見したのですが、歩きやすい経路で鮮明に出来た獣道のようでした。おそらく日々エゾシカたちが行ったり来たりしながら冬の間に道を踏み固めていたのでしょう。その鹿道に導かれながら歩いて行くと、川に沿ったエゾシカの生活圏が見えてきました。
ガローの切り立った岩壁に覆われた急流域のさらに上流まで行くと、すっかり流れは緩やかになり、川岸まで下りられるなだらかな場所には水飲み場のような箇所があって、頻繁に川へ近づいているようでした。あちこちに樹皮をかじった食痕も残っています。帰り道に対岸側を下って行くと、足がぬかるむほどの湿地帯が局地的に形成されていて、沼田場(ぬたば)という、動物が泥浴びをする場所になっているようでした。
このような野生の動植物の息吹を観察できる環境が目の前に広がっていることが、この土地の大きな魅力で、私の創作活動に必要不可欠になっています。
(彫刻家・苫小牧)