「まずは道民の暮らしを守っていく。ただ、それだけでは駄目で、未来をつくっていかなければいけない。時代の岐路に立つ今こそ、北海道の役割は大きいとの認識で挑戦していきたい」
2期目に挑む政策のキャッチフレーズ「直向(ひたむ)きに北海道を前へ」に込めた思いを、こう語る。
東京都庁職員を退職し、激戦の夕張市長選で初当選したのが2011年。まだ30歳で、当時全国最年少市長になった。日本で唯一の財政再生団体の再建に道筋をつけ、38歳(当時全国最年少)で就任したのが北海道知事。1期目のうち3年3カ月余りは、全国で最も早く感染拡大が始まった新型コロナウイルス感染症対策に奔走した。
「38歳で令和という新しい時代が始まる最初の知事に就任させてもらい、1年弱でコロナが始まった。ロシアのウクライナ侵略という事態にも直面し、今までにないような状況が次から次へと起きた」と1期目を振り返る。ただ、「この4年間、誰も経験したことのない危機管理をやってきた。本当に大切な財産だと思っている」と前を向く。
告示2日前に発表した政策で「エネルギー、デジタル、食」の三つのキーワードを含む7本柱を掲げた。
「食料安全保障など世界が大きな課題に向き合う中、今こそ北海道の持つポテンシャルを最大限発揮し価値を押し上げていく必要がある」。そうした姿勢を政策に盛り込んだ。
全国で唯一の与野党対決型となった道知事選。争点については「今の厳しい状況を改善していくという足元の対策もある。それと北海道の未来、何を目指していくのですかという点ではないか」と説明。「北海道をどうやって再び成長軌道に押し上げていくか。経済をどうやって再び活性化していこうとしているのか」
告示前に出版された自著の「逆境リーダーの挑戦」(PHP新書)の中で、選挙は「究極の面接試験」と書いた。「この4年間、コロナ対応では道民の理解と協力をいただきながらやってきた。1日、2日でできる信頼関係ではないと思っている」と強調。「皆さんの気持ちを裏切らないように、一日一日丁寧に、とにかく仕事をさせてほしいということを実直に訴えていきたい」と力を込めた。
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道政のかじ取り役を選択する知事選が始まった。現職と新人の計4人が出馬。与党勢力が推す鈴木氏と、野党陣営が擁立した池田真紀氏の主要候補2人に政策や争点などを聞いた。(届け出順、2回連載)