【ブリュッセル時事】国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)は17日、ロシアが侵攻したウクライナの占領地からの違法な子供の連れ去りに関与したとして、戦争犯罪の疑いでロシアのプーチン大統領に逮捕状を出した。ロシアはICC設立条約の締約国ではなく、実際に身柄引き渡しを求めるのは困難だが、ICCはロシアのトップであるプーチン氏の責任を追及する姿勢を鮮明にした。
ICCは声明で「プーチン氏が個人的に刑事責任を負うと信じるに足る合理的な根拠がある」と強調。また、公表によって「犯罪防止に寄与する可能性がある」と説明した。ICCのカーン主任検察官も、孤児院や児童養護施設から数百人の子供たちが連れ去られた実態を確認したと述べた。
逮捕状が出されたのを受け、ウクライナのゼレンスキー大統領は「歴史的な決定だ」と歓迎。侵攻後、子供の連れ去りは1万6000件超に上ると指摘した。一方、ロシアのペスコフ大統領報道官は「いかなる決定も法的に無効だ」と反発した。
ロシアの関与が疑われる子供らの連れ去りに絡み、ICCはロシアのリボワベロワ大統領全権代表(子供の権利担当)にも逮捕状を出した。ロシア独立系メディアの報道によれば、リボワベロワ氏は、ウクライナから連れ去られた子供の養子縁組を進めていたとみられている。日本政府が1月、資産凍結の制裁対象に指定した。
米紙ニューヨーク・タイムズは先に、ICCが戦争犯罪での審理を行う意向だと報道。同紙は当局者らの話として、ウクライナからの子供連れ去りなどが裁きの対象となる見通しと伝えていた。