セブン&アイ・ホールディングスは9日、新たなグループ戦略を発表した。不振が続く傘下の総合スーパー、イトーヨーカ堂は、閉鎖する店舗を14店追加。2026年2月末までの3年間で計33店を閉め、首都圏を中心とした93店体制とする。低迷する衣料品事業からも撤退する。
ヨーカ堂事業はセブン&アイの祖業。22年2月期まで2期連続で最終赤字を計上した。海外の大株主はコンビニ以外をグループから切り離すよう求めているが、セブン&アイは当面、これらの改革で乗り切る方針だ。
電話会見したセブン&アイの井阪隆一社長は、主力のコンビニ「セブン―イレブン」を核に「食を中心とした世界トップクラスの小売りグループを目指す」と強調。生鮮野菜や冷凍食品の品ぞろえをコンビニより拡充した新業態実験店を夏までに開く方針も示した。
ヨーカ堂の店舗網は北海道から近畿まであり、今回の削減で16年2月末時点(182店)からほぼ半減する。閉鎖店名は公表しなかった。また、撤退する衣料品は、自社で手掛ける紳士服や婦人服、子ども服で、肌着などを除く。空いた売り場にはテナントの入居などを検討する。
セブン&アイは昨秋、百貨店子会社「そごう・西武」の売却を決めたものの譲渡を延期。井阪社長は月内実施に向け「努力を続けている」と話した。
このほか、創業家出身の伊藤順朗常務が4月1日付で代表権のある専務に昇格する人事も発表した。