歯周病菌の腸内への感染と体内の過剰な鉄量が、大腸がんの進行を早めるメカニズムを解明したと、熊本大の研究グループが発表した。
もともと口の中に存在し、歯周病の原因となるフソバクテリウム・ヌクレアタム菌が腸内に感染した大腸がん患者では、全身の鉄量が多いと生存率が低下することが分かっている。
研究グループは、204人の大腸がん患者から採取したサンプルを用い、この菌と体内鉄量との関係性を、患者の生存期間と照合して解析した。
その結果、菌が腸内にすみ、鉄が過剰な状態にある患者では、がん細胞に蓄積した鉄が免疫細胞に与える影響により、大腸がんの進行が早まって生命予後が悪化することが分かった。
研究グループは「大腸がんの新たな予防法や治療法の開発につながる」と期待を示している。
(メディカルトリビューン=時事)