腕に覚えのある太公望が苫小牧市錦大沼のワカサギ釣りで火花を散らす「錦大沼ワカサギ釣名人2023」が15日から3日間、繰り広げられた。延べ19人出場の予選を勝ち抜いた6人が17日、「本戦」で腕と技を競い、午前9時からの1時間勝負で76匹を釣り上げた市内北栄町の会社員、山田大輔さん(37)が”名人”の称号を勝ち取った。
山田さんの釣り歴は3年。対象魚はもっぱらワカサギだ。もともと釣りに興味はなかったが、家族を冬キャンプに連れ出そうと、氷上にテントを設営してワカサギ釣りができる札幌でトライし、面白さにはまった。今ではテントの有無に関係なく錦大沼をホームグラウンドに楽しんでいる。
山田さんは昨年の名人戦にも出場した。2シーズン目にして3位に入賞するなど腕前は相当。研究にも余念がない。今回は予選がトップ通過者の半分の50匹にとどまったことから、本戦切符は手にしたものの「どうしたらもっと釣れるのか、インターネットで調べた」上で臨んだ。
17日は市販のさおとリールのタックルに0・5号の仕掛けを選択した。予選はやや大きい0・8号だった。本戦は針掛かりの良さを重視して仕掛けをサイズダウン。錦大沼はまき餌禁止のため、仕掛けの上部にブドウ虫をくくりつけて集魚効果を狙った。さらに仕掛けを狙いの棚に素早く落とすため、さお先の魚信を犠牲にして重めのシンカーを付け、手返しを優先した。
釣りの制限時間は1時間。当日の風は弱く、寒さが緩み気温はやや高め。そのせいか「序盤は活性が高く反応は良かったが、中盤はかなり渋くなった」と言う。終盤にかけて群れの回遊に変化があり、食い渋りなど反応をつかみかねる釣り人が多い中、山田さんは粘り強く誘いをかけ、餌を適宜交換して釣果を伸ばした。
結果は居並ぶ歴代の名人を小差で抑えて優勝。主催した苫小牧市シルバー人材センター(守屋久義理事長)から贈呈された念願の栄冠「ワカサギ釣名人」のキャップをかぶり、「ビギナーズラックです」と謙遜しながらも表情を緩めた。