東京五輪・パラリンピックのスポンサー契約を巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之被告(78)=受託収賄罪で起訴=に便宜供与を頼み賄賂を渡したとして、贈賄罪に問われた広告大手「ADKホールディングス」元社長、植野伸一被告(69)の初公判が17日、東京地裁(友重雅裕裁判長)であった。植野被告は罪状認否で「間違いありません」と述べ、起訴内容を認めた。
検察側の冒頭陳述によると、ADK元統括部長の久松茂治(63)、元統括部長補佐の多田俊明(60)両被告=いずれも贈賄罪で起訴=が招致決定前の2013年6月、電通の販売協力代理店になれるよう高橋被告に頼んだ。植野被告の了承の下、高橋被告の会社「コモンズ」とコンサルタント契約を結び、同8月から月50万円の支払いを始めた。
18年3月には植野被告が高橋被告と会食し「スポンサー集めに苦労しています。助けてください」と相談。駐車場大手パーク24の契約を回してもらい、同年12月に約2000万円を高橋被告の知人、松井譲二被告(75)=収賄罪で起訴=の会社「アミューズ」に振り込んだ。
検察側は、顧問弁護士から贈賄罪の成立を指摘された後も組織委会長だった森喜朗氏とのパイプを持つ高橋被告側に支払いを続けたと指摘した。
起訴状によると、植野被告は久松被告らと共謀。17年11月~22年1月、高橋被告に便宜供与を依頼した見返りに計約4700万円を送金したとされ、うち公訴時効(3年)が経過していないコンサル料計約1400万円分の贈賄罪で起訴された。