雪が真っすぐ

  • 土曜の窓, 特集
  • 2023年2月11日

 わたしの初北海道は1995年ごろ。地元名古屋から乗った太平洋フェリーで苫小牧に降り立った。真冬の寒さは、名古屋の比ではなかった。港の吹きっさらしの風のおかげで、あっという間に身体の芯まで冷え切った。

 その寒さすら、憧れの北海道だからだろう。興奮していた。子どもの頃、社会科の時間に地図で見て、なんともかわいらしい形の北海道。ジャガイモがおいしいと誰かが言っていて、ジャガイモの味が違うなんてことがあるものなのかと疑問だった。北海道。どれほど行きたかったことか。

 さあ帰りもフェリーで名古屋まで。苫小牧の滞在時間は数時間しかない。わたしは先輩に連れられて支笏湖に行くことになった。その前に馬に乗ろうと、初めての乗馬。といっても、ただまたがっただけとも言える。馬は、きゃーきゃー言いながらまたがる20代女子を乗せて、迷惑そうにトコトコと歩いた。美しい馬たちに「また来るね」と、さよならを告げると馬たちはこちらを見向きもしなかった。

 一路、支笏湖温泉へ車で向かった。道は広くて信号機がなくて、うわぁ、スタンドバイミーみたいだね!と、自分の知る限りの知識の中で精いっぱい、どこまでも続く道と自然を表現してみた。

 同じ景色が続き、車内ではあっという間に眠ってしまった。「着いたよ」と起こされ、わたしは寝ぼけ眼で施設に入り、服を脱ぎ、露天風呂に出ると、気付いたら雪がしんしんと降っていた。足をつけるとさほど熱くなかったので、一気に漬かった。ようやく目が覚めてきた。

 透明でトロッとしたお湯は柔らかく身体に染みた。大きく、はあと息を吐くとその息は真っ白で、湯けむりの奥に湖がみえて、その奥は山々、そこに音も立てずに雪が真っすぐに落ちてきた。わたしは、こんな景色見たことがない、とぼうぜんとした。自分の知識全てを使っても、その景色を表現することができなかった。忘れられないその情景。ただただ、すごかった。

 どうだったの? と聞かれると、こう答えている。「いやー、すごかった。行ってきたらいいですよ、冬の支笏湖」。(タレント)

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