全国で相次ぐ強盗事件を巡り、警視庁は7日、フィリピン入管施設で拘束されていた日本人容疑者4人のうち、今村磨人（38）、藤田聖也（38）両容疑者を別の特殊詐欺事件に絡む窃盗容疑で逮捕した。フィリピンのレムリヤ法相は同日、残る渡辺優樹（38）、小島智信（45）両容疑者について、「8日深夜（日本時間9日未明）の便で移送される」と述べた。

　警視庁は4人が被害総額60億円超に上る特殊詐欺グループの幹部らとみており、フィリピンで押収された携帯電話を解析するなどして捜査。一連の強盗事件に関与した可能性もあるとして全容解明を急ぐ。

　捜査関係者によると、グループはフィリピンに拠点を置き、渡辺容疑者がリーダー格とみられる。2019年に東京都内で起きた特殊詐欺事件に絡み、警視庁が窃盗容疑で4人の逮捕状を取得し、同国政府に強制送還を求めていた。

　今村、藤田両容疑者の逮捕容疑は19年4月と11月、他のメンバーと共謀し、警察官などをかたって東京都内の男女にうその電話をかけ、キャッシュカードを盗むなどした疑い。警視庁は2人の認否を明らかにしていない。

　同庁によると、フィリピンにうその電話をかける「かけ子」のチームが複数あったとみられ、今村容疑者はその一つを統括する立場だった。藤田容疑者はメンバー勧誘役で、SNS上で「闇バイト」を募り、グループに入る人物を探していたという。今村、藤田両容疑者はそれぞれ、年と年に同国で拘束されていた。

　両容疑者は7日午前、マニラ首都圏の空港を出発。午後、成田空港に到着した。同行した警視庁の捜査員が航空機内で逮捕した。

　強盗事件を巡っては「ルフィ」や「キム」などと名乗る人物が秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」を通じ、実行役らに指示を出していた。警察当局は4人の中に「ルフィ」らが含まれるとみている。