ロシアのプーチン大統領は5日、東方正教のクリスマス(7日)に合わせ、6日正午(日本時間同日午後6時)からウクライナで36時間の停戦に入るよう軍・国防省に命じた。ロシア正教会のキリル総主教が「当事者」に要請したのを受けた形だが、実質的にはプーチン政権の提案。東・南部を占領されたウクライナのゼレンスキー政権は停戦を拒否した。
ゼレンスキー大統領は5日の動画メッセージで、ロシア提案の停戦はクリスマスを「隠れみの」に態勢を立て直すのが狙いだと指摘。ウクライナが昨年11月に提案した和平案こそが終戦をもたらすと強調した。
ダニロフ国家安全保障・国防会議書記は5日、地元テレビで「われわれには関係ない」と一蹴。キリル総主教が名指しでウクライナに要請していないことなどから「(ロシアは)誰に停戦を提案しているのか」と不信感を示した。
その上で、簡単な解決策として「荷物をまとめてロシアに帰ってほしい」と通告。「停戦に関していかなる話し合いもするつもりはない」という立場を述べた。
ダニロフ氏はツイッターでも「クレムリンの悪魔たちは、キリスト教の祝日クリスマスに何の関係があるのか」と投稿。これまで伝えられた子供や妊婦への攻撃や捕虜の拷問に言及し、ロシアの言う停戦は「うそと偽善だ」と退けた。
ポドリャク大統領府顧問も停戦を「わな」と見なし、ロシア軍の撤退が先決と主張。「12月25日から31日夜にかけての期間に戻り(ウクライナ各地に)ミサイルや無人機が飛んでくる中、クリスマス停戦を話し合うよう提案する」と皮肉った。
一方、停戦は前もってロシア側で周知されておらず、混乱しているもようだ。ロシア軍出身のグルリョフ下院議員はプーチン氏の命令前に「クリスマス停戦はあり得ない」と否定的見解を表明。東部ドネツク州の親ロシア派幹部のプシリン氏は「敵の挑発には反撃する」と宣言した。