政府は23日の臨時閣議で2023年度予算案を決定した。一般会計総額は前年度当初予算に比べ6・3%増の114兆3812億円と、11年連続で過去最大を更新。110兆円を超えるのは初めてとなる。歳入を借金に依存する構図は変わらず、ウクライナ危機を契機とした安全保障環境の変化に対応して防衛力の抜本的強化に乗り出すことで、財政状況は一段と悪化する。来月召集の通常国会に提出する。
政府は今回の予算案を「歴史の転換期を前に、未来を切り開く予算」と位置付け、防衛費のほか、脱炭素、少子化対策、地方のデジタル化などに重点配分。物価高や新型コロナウイルスなどに対応するため、一般予備費も含めて計5兆5000億円の予備費を確保する。
脱炭素分野では、新たな国債「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」(仮称)を23年度に約1兆6000億円発行。このうち4900億円程度を、原発の次世代革新炉に関する研究開発支援などに投じる。少子化対策では、出産育児一時金を42万円から50万円に引き上げる。
分野ごとの歳出を見ると、全体の3割超を占める社会保障費が1・7%増の36兆8889億円と過去最高を更新。防衛費は、米国製巡航ミサイル「トマホーク」などの配備を進めるため、26・3%増の6兆8219億円に膨らむ。過去に発行した国債の償還や利払いに充てる国債費も3・7%増の25兆2503億円に増える。利払い費算出の前提となる想定長期金利は7年連続で年1・1%に据え置いた。
歳入面では、税収が6・4%増の69兆4400億円と過去最高を見込む。消費税、法人税がそれぞれ順調に伸びる。税収増により、歳入不足を補う新規国債の発行額は3・5%減の35兆6230億円と、2年連続で減少。政策的経費を税収でどれだけ賄えているかを示す基礎的財政収支の赤字幅は11兆円弱と前年度当初予算の約13兆円から縮小する。
新規国債のうち、赤字国債は5・2%減の29兆650億円、建設国債は4・9%増の6兆5580億円。建設国債は道路など公共事業の財源に使われてきたが、初めて自衛隊の施設整備や艦船建造費に4343億円を充てる。歳入に占める借金の割合を示す国債依存度は31・1%と、前年度当初予算(34・3%)から低下するが、23年度末の国債発行残高は1068兆円と借金は増加する見通しだ。