6 樽前小学校100周年 地域一体で節目祝う 校舎の新築に着手屋内運動場も整備へ

  • この1年 2022, 特集
  • 2022年12月22日
100周年を迎えた樽前小学校

  今年6月、苫小牧樽前小学校は開校から100年を迎えた。市内全域から通学可能な苫小牧唯一の特認校で、「児童たちが家族のように仲が良く、地域から愛されている学校」と26代目の深松一宏校長は目を細める。今年は100周年を祝って、花火や記念式典などさまざまなイベントを繰り広げた。来年からは、校舎新築をはじめ学校施設全体の工事を本格化させる。

   同校は1922年6月に覚生尋常小学校所属樽前特別教授場として開校。34年に樽前尋常小学校に改称した。児童数は100人を超えていた時もあったというが、時代の変遷に伴い徐々に減少。閉校を危惧したPTA会員や地域住民らが学校を存続させよう―と、91年ごろから道内の小規模校を視察するなど存続活動を開始。94年2月には、樽前小学校過疎化対策推進協議会を立ち上げた。

   当時、PTAの副会長だった直山昭一郎さんによると、樽前地区以外の児童を招くことでいじめを懸念する声もあり反対意見も出たが、95年に市内全域から通学できる小規模特認校となった。樽前の豊かな自然を利用し、校内にしいたけ園を設置して栽培に取り組むなど、環境を生かした独自の教育活動を展開。開校以来の卒業生の数は約1000人に上る。

   100周年を前に、昨年度からはSNS(インターネット交流サイト)のインスタグラム(写真投稿サイト)やフェイスブックなどでアカウントを作成し、積極的に学校生活の様子を発信。今年度は「開校100周年」を冠にした運動会や学芸会を開き、教職員や児童をはじめ地域全体で周年の喜びをかみしめてきた。

   今年9月には「とまこまい百年花火」を実施した。市内の中小企業経営者有志らが中心となり、同校近くから約3000発の花火を打ち上げた。11月は、同校体育館で記念式典と祝う会を開いた。保護者や町内会関係者、卒業生ら約80人が参加し、歴代校長や住民に感謝状を贈呈したほか、児童の力強い演奏で同校伝統の「龍神太鼓」が披露された。

   来年7月からは、老朽化した校舎の新築工事に取り掛かる。鉄筋コンクリート造り平屋建て1440平方メートルの予定で、グラウンド西側には屋内運動場を新設。プールは解体し、代わりにアスレチックを設けるほか、西側にあったしいたけ園を北側に移設する。2024年7月に新校舎と屋内運動場を完成させ、全ての工程を25年11月までに終了させる見通しだ。

   現在、24人の児童が通学する同校。樽前町内会など地域住民と一体となった学校教育が特徴だが、近年は新型コロナウイルスの影響で交流機会が減少している。来年以降、一日も早い交流復活を望むとともに、「グラウンドの百年桜に負けないよう、今後も長く歴史を刻んでいきたい」と期待を込める。(樋口葵)

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