世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体が昨年の衆院選で、複数の自民党議員に憲法改正などへの賛同を求める「推薦確認書」を提示し、署名を求めていたことが分かった。一部議員は署名に応じた。教団側が選挙支援の条件を明示した事実上の「政策協定」。教団と自民党の関係の深さが浮き彫りになった。
自民党の斎藤洋明衆院議員(新潟3区)が20日、取材に対し、昨年の衆院選前に推薦確認書に署名していたと認めた。「先方の関係者が私の事務所に持参し、秘書が受け取った。内容を自分の目で確認し、おおむね(政策の)方向性は合致しているということでサインした」と説明した。
衆院選では、ボランティアによる電話かけの支援を受けたと明かし、「判断とその前提となる認識が間違っていたので大変反省している」と陳謝。今後は関係を持たないと明言した。
これに関し、岸田文雄首相は20日の参院予算委員会で、実態把握に努める考えを示した。その上で「それぞれの議員が自らの行動について説明責任を果たしていくことが重要だ」と強調した。
首相は、自民党議員には教団側と「関係を絶つことを徹底してもらう」と重ねて表明。「一議員に対するアプローチが党の政策決定全体に影響を与えるシステムにはなっていない」と述べ、政策決定への影響を否定した。
推薦確認書は(1)憲法を改正し、安全保障体制を強化(2)家庭教育支援法・青少年健全育成基本法を制定(3)LGBT問題、同性婚合法化の慎重な扱い(4)「日韓トンネル」実現を推進(5)国内外の共産主義勢力の攻勢阻止―との政策を列挙。「以上の趣旨に賛同し、(友好団体の)平和大使協議会および世界平和議員連合に入会する」などの条件が記されていた。
自民党は先に、教団側との接点に関する調査報告を所属議員に求めたが、対象に推薦確認書の有無は含まれていなかった。党幹部は「選挙に当たって候補者はあらゆる団体とやりとりがある。全容を把握することは不可能だ」と述べた。