第2部 (5)変革期 未来へチャレンジ 積極的に異業種交流

工場内の「ものづくり道場」で他社への「カイゼン」を模索

 「北海道のために汗をかくことで学ぶことがある。この1年はまだまだ試行錯誤」―。トヨタ自動車北海道の内藤一徳副社長は謙虚に振り返る。将来に向けて社内でビジョンを明確にし、社員で共有しようと昨年4月に立ち上げた「アドバンスドBCD企画推進室」を統括してきた。

 ビジネスクリエーションの「B」、カーボンニュートラル(CN、温室効果ガスの排出ゼロ)の「C」、デジタルトランスフォーメーションの「D」を推進。「これまではトヨタ自動車(愛知県)の100%生産子会社として、恥ずかしながら100%トヨタの方を向いて仕事をしていた。北海道にとってなくてはならない会社にならないと」と決意を新たにする。

 ◇

 トヨタ北にとってこの10年間、既に「挑戦期」を迎えていたのかもしれない。1992年の操業開始から10年間は製造ラインの立ち上げなど「創業期」。次の10年間は道内ものづくり企業最大手への「成長期」だった。近年はリーマンショック(2008年)、東日本大震災(11年)など逆境のたびに減産を余儀なくされる中、ハイブリッド車向けトランスアクスルの生産開始(12年)、自動変速機(AT)「U340」の生産終了(今年6月)などと主力品目を切り替え、雇用や売上高を過去最高規模で堅持してきた。

 脱炭素社会やCNの進展で、ガソリン車に電動化の波が押し寄せる。時代はAT、無段変速機(CVT)から、ハイブリッドを含めた電動化に流れる。同社の電動化率は全体生産量の15%程度で、電動ユニットへの切り替えは急務だ。さらに電動化が進めば、構成する部品数も減り、トヨタ北で生産することによる「付加価値」も低減する。地場の自動車関連産業にとっても死活問題だが、アドバンスドBCDはその「付加価値」を創出すべく、これまで積み重ねた「ものづくり力」を生かし、異業種交流などを積極的に進める。

 1次産業や食品加工、小売業などと意見を交わし、既に一部の現場ではトヨタならではの「カイゼン」を提案し、困りごとの解決や生産性の向上に貢献。この1年間ほどで企業や行政、高等教育機関など200カ所以上と意見を交わしたが、これまでに接点がなく、従業員の「飛び込み営業」で交流が始まったところも。トヨタ北も人材育成の貴重な場にしつつ、「カイゼン」の精神を地域に広げ、引き続き地場産業をリードする一翼を担おうとしている。

 自動車業界は100年に1度ともいわれる変革の時期を迎えている。電動化、自動運転など新たな領域の技術革新も目覚ましい。一方で、新型コロナウイルス感染拡大やロシアのウクライナ侵攻、材料価格の高騰など、予想もしなかった出来事や課題が次々と発生した。北條康夫社長は「従来の延長線でやっていても難しい」と断言し、転換点をさらなる発展につなげようと、「未来へのチャレンジ」の模索を続ける。

 (終わり)

 ※金子勝俊が担当しました。

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