鳴り響くサイレンに緊張が走った。北朝鮮が4日発射したミサイルは5年ぶりに日本列島を飛び越え、約4600キロ先の太平洋沖に落下。全国瞬時警報システム(Jアラート)が警戒を呼び掛けた北海道と青森県では朝から職員らが対応に追われ、漁業関係者からは「今回は太平洋だったのでひやひやした」と不安の声が漏れた。
職員が24時間常駐する北海道の危機対策課では朝から電話が鳴り響き、ホワイトボードに状況を書き込むなど、慌ただしく情報収集に当たった。担当者は「自衛隊を含め、各市町村や防災関係機関に連絡している」と説明。午前9時分ごろ防災服姿で登庁した鈴木直道知事は「道内関係の航空機、船舶などの安全確認を徹底するよう指示した」と語った。
道内ではJRの在来線に運休や遅れが生じ、札幌駅は朝から大混雑した。駅に着いた人々が遅延証明書の受け取りに列をつくり、改札前では心配そうに電光掲示板を見上げる人もいた。
青森県では危機管理担当部署の職員がテレビなどに目をやりながら、緊張した表情で対応に当たった。県庁内には連絡員として駆け付けた迷彩服姿の自衛官の姿もあった。庁内で午前8時20分から急きょ開かれた会議では、出漁中の漁船に被害がないことが報告された。
青森県漁業協同組合連合会の担当者は「国は防衛政策をしっかりやってほしい」と注文。大間漁業協同組合の女性職員は「(今回は落下地点が)太平洋だったから身近でひやひやした。もし船が出ていたら大変で怖い」と声を震わせた。
東京・市谷の防衛省では緊急の幹部会議が開かれた。9月下旬から連日のようにミサイル発射が続き、ある制服組幹部は「米韓へのけん制にしてもあまりに多い。意図を慎重に分析する必要がある」と厳しい表情。別の幹部は「本土を飛び越えるのはレベルが違う」と語気を強めた。