【ロンドン時事】ウクライナのゼレンスキー大統領は2日、通信アプリ「テレグラム」に投稿した動画で、東部ドネツク州の要衝リマンからロシア軍を「完全に排除した」と宣言した。ロイター通信が伝えた。ゼレンスキー氏はこれに先立つ1日夜のビデオ演説で、「より多くのウクライナの旗が(ドネツク州を含む)ドンバス地方に戻った。今後1週間のうちにその数はさらに増える」と明言。「戦果」を誇示し、さらなる占領地奪回に向け攻勢を強める考えを示した。
ゼレンスキー氏は演説で「ロシアはドンバスで『住民投票』という茶番を繰り広げた。家々の周りに兵士を送り込み、(投票の)紙を運び、宣伝機関がその様子を撮影したが、今はそこにウクライナの旗がある」と強調。ソーシャルメディアには、リマン中心部にある自治体庁舎とされる建物にウクライナ国旗を掲げる兵士らの動画が投稿された。
ドネツク州に隣接し、大半がロシア側の支配下にあるルガンスク州のガイダイ知事もテレグラムで、「リマン解放はルガンスクの占領を終わらせるための主要な要素の一つだ」と述べ、奪還がウクライナ軍東進の契機になるとの見方を示した。
英国防省は2日の戦況報告で、ロシアにとって「違法な併合で『解放』しようとした地域」からの撤退は「重大な政治的失敗」になったと指摘。リマン防衛に当たったのは「人員を充足できていない西部および中央軍管区の部隊と、動員された予備役の部隊」で、ただ1本の退路を使って撤退する際、大きな損害を被った可能性が高いと分析した。