【ニューヨーク時事】大型ハリケーン「イアン」の上陸から一夜明けた29日、米南部フロリダ州では、被害が甚大な南西部を中心に捜索救助活動が進められた。上陸地となった沿岸部リー郡では、サニベル島と本土をつなぐ橋が損傷し、島が孤立。多数の家屋も破壊され、がれきが散乱した。

　当局は公式の死者数を発表していないが、CNNテレビは少なくとも15人が死亡したと伝えた。バイデン大統領は29日、連邦政府の支援を可能にする「大規模災害」を宣言。「フロリダ州史上最も多くの犠牲者が出る恐れがある」との認識を示し、被災地視察の意向を表明した。

　イアンは5段階で2番目に強い「カテゴリー4」の勢力で28日に上陸した。陸地を北上するに伴い熱帯低気圧となったが、フロリダ州を抜けた29日、大西洋上で再びハリケーンに発達。30日にもサウスカロライナ州に再上陸する見通し。

　リー郡フォートマイヤーズのアンダーソン市長は、CNNに対し「これほどの被害をもたらした嵐は見たことがない」と指摘。「（街が）戦場のようになってしまった」と述べた。