東京五輪・パラリンピックのスポンサー契約をめぐる汚職事件で、広告大手「大広」から電通の販売協力代理店に選ばれるよう依頼され、計約1500万円の賄賂を受領したとして、東京地検特捜部は27日、受託収賄容疑で大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)、知人のコンサルタント会社社長深見和政容疑者(73)を再逮捕した。大広についても贈賄容疑で執行役員の谷口義一容疑者(57)を逮捕した。
紳士服大手「AOKIホールディングス」、出版大手「KADOKAWA」に続く立件で、高橋容疑者の逮捕は3回目。特捜部は、高橋容疑者が「みなし公務員」でありながら幅広く口利きビジネスを行っていたとみて全容解明を進めている。
高橋容疑者の再逮捕容疑は、深見容疑者と共謀し、谷口容疑者から、大広が電通の協力代理店に選ばれ、担当した語学サービス分野でスポンサー契約を結べるよう後押しを頼まれ、2019年1月~22年2月、深見容疑者が社長を務める「コモンズ2」名義の口座に計約1500万円を送金させ、受領した疑い。関係者によると、高橋容疑者は「身に覚えがない」と容疑を否認している。
谷口容疑者は公訴時効が経過していない計約600万円分の賄賂を渡した疑いが持たれている。
関係者によると、専任代理店の電通がスポンサー募集の窓口となったが、協力代理店に複数の広告会社を選定し、一部業務を担わせていた。高橋容疑者は電通の担当幹部に大広の参入を働き掛け、大広は電通から得た委託料の一部を賄賂として支払ったとみられる。
特捜部は27日、KADOKAWAから計約7600万円の賄賂を受領したとして、受託収賄罪で高橋、深見両容疑者を、贈賄罪で同社元専務の芳原世幸(64)、元担当室長馬庭教二(63)両容疑者を起訴した。高橋容疑者はAOKIから計5100万円を受領した受託収賄罪で既に起訴されている。