死者58人、行方不明者5人を出した御嶽山(長野・岐阜県境、3067メートル)の噴火から8年を迎えた27日、麓の長野県王滝村の松原スポーツ公園で犠牲者の追悼式が開かれた。噴火時刻に合わせて午前11時52分にサイレンが鳴らされ、参列者は黙とうをささげた。
昨年は新型コロナウイルスの影響で献花式のみ実施され、追悼式は2年ぶり。王滝村と同県木曽町が主催し、遺族や阿部守一知事、地元関係者ら約60人が参列した。
岡山県赤磐市の堀口純一さん(76)が遺族代表であいさつ。亡くなった長男英樹さん=当時(37)=を「まだこれからの人生だったのに、本当に残念。きょうだいをよくまとめ、家族の誇りだった」としのんだ。
阿部知事は「来シーズンからは八丁ダルミの規制が緩和される。火山防災対策に万全を期していく」と述べた。その後、遺族らが献花台に花を供えた。
次女照利さん=当時(11)=を亡くした愛知県豊田市の長山幸嗣さん(52)は、知事の言葉を受け、「来年、照利の通ったルートで登って慰霊したい」と期待を込めた。
御嶽山は2014年9月27日に噴火し、噴石が登山者らを襲った。多くの犠牲者が出た王滝頂上と剣ケ峰をつなぐ尾根「八丁ダルミ」では、避難用シェルターの設置工事が進められているが、今年2~6月に噴火警戒レベルが引き上げられたため、遅れが発生。王滝村などは八丁ダルミの立ち入り規制について来季の緩和を目指している。