東京都北区浮間の特別養護老人ホーム「浮間こひつじ園」で入所者の山野辺陽子さん(92)が死亡した事件で、警視庁捜査1課は25日、殺人容疑で指名手配していた施設職員菊池隆容疑者(50)を札幌市内で逮捕した。
容疑を認め、「『ばか』と言われカッとなった」などと話しているといい、同課は詳しい状況を調べる。
逮捕容疑は15日午後10時~16日午前1時ごろ、施設内で山野辺さんの顔を殴るなどして暴行を加え、殺害した疑い。
同課によると、菊池容疑者は15日午後10時ごろに出勤した後、山野辺さんとトラブルになったとみられ、「『ばかは帰ってください』と言われ、平手で頭を2回たたいた」などと話している。「覚えておくからね」と言われて逆上し腕を折ったほか、動かなくなった山野辺さんの目を覚まさせようと、熱湯を体に掛けるなどしたという。
菊池容疑者は事件後、施設から逃走。茨城県、仙台市、盛岡市などを経て17日以降は札幌市内に潜伏していたとみられる。25日午後1時すぎ、同市内のマンション屋上付近の非常階段にいた同容疑者を住民が見つけて110番。警察官が駆け付け事情を聞いたところ、容疑を認め、「北海道で自殺したかった」などと話したという。
山野辺さんは16日午前7時25分ごろ、1人部屋のベッドの上で頭から血を流しているのを別の職員に発見され、搬送先の病院で死亡した。同課は菊池容疑者を指名手配し、顔写真を公開するなどして行方を追っていた。
菊池容疑者は6月から同施設に勤務。7月中旬に入所してきた山野辺さんの担当をしていた。
菊池容疑者が逮捕された25日夜、施設は窓のカーテンが閉め切られ、ひっそりとしていた。女性職員は取材に「対応は弁護士に任せている」と話した。