白老町のNPO法人「ウレシパの杜(もり)」(山田和子代表、会員25人、6団体)は、町と林野庁の協力で、民族共生象徴空間(ウポポイ)=町若草町=横の土地を整備し、散策路を完成させた。山田会長は「今年度中に森の中で勉強会を開催し、散策路沿いの植物を紹介できるガイドの養成もして、積極的な活用を目指したい」と意気込んでいる。
同法人は2020年4月に発足。散策路の整備は「地元で暮らすアイヌ民族の世界観や文化を五感で学べる場をつくりたい」と、町や林野庁胆振東部森林管理署の許可を得て、腰の高さまであったウポポイ横のササをボランティアで刈ったことがきっかけになった。
町と林野庁に協力を求め、20年9月に散策路として計画した部分約300メートルについて整備の許可を得た。同月から作業に着手し、急勾配の坂にヤナギの木の枝を束ねた階段(連柴柵工)をこしらえた。ヤナギの生命力は強く、施工後に絡み合って丈夫で環境に優しい土止めになるという。
今年4月には、カツラやハリギリ、ミズキ、キタコブシなど約10種目の樹木に2次元コード付きの銘板を取り付けた。スマートフォンを使ってコードを読み込めば、町内在住の児童やお年寄りの音声による1分ほどのガイドが楽しめる。散策路周辺のササも、2年ほどかけて刈り終えた。
山田代表は「散策路は歩いて10分ほどのコースで、誰でも自由に歩けます」と利用を呼び掛ける。「ササ刈りなどの整備を続けながら、勉強会や散策ツアーを開催し、アイヌ文化への理解を深めていきたい」と目を輝かせ、ウポポイとの連携を深める場になるほか、町内の小中学校や高校のアイヌ文化学習や自然学習の場、町民の散歩コースなどとして活用され、暮らしに身近な存在となることを期待している。
問い合わせは同法人事務局のヤマダリビング 電話0144(82)2345。