下 2期目に向け抱負 飛躍するふるさとづくり 震災とコロナ禍 乗り越え未来へ

  • 夢育む あびらの力を発信, 特集
  • 2022年4月15日
自ら掲げる政策を丁寧に説明し、町民に支持を訴えた街頭遊説 =12日、追分地区

  2018年9月に発生した胆振東部地震に加え、終息の兆しが見えない新型コロナウイルスに足を引っ張られて駆け抜けてきた4年間。震災からの復旧復興や人口減少、さらには町の産業や経済にも影響を与えるコロナ対策など早急に取り組まなければならない課題が山積する中、「震災とコロナ禍を乗り越え、未来へ飛躍するふるさとづくり」をスローガンとする及川秀一郎氏(57)の町長としての2期目が始まる。

   震災から3年7カ月が経過したが、校舎が壊れ、今なお生徒たちが仮設校舎で学習を続ける早来中学校の再建が喫緊の問題だ。予定では10月に校舎が完成し、来年春には小中一貫の義務教育学校「早来学園」として新たなスタートを切る。子育てや教育を柱に掲げる町として、学校を新たな魅力ある場所にするとともに、子どもに優しいまちづくりを推し進める。民間と協力し、子育て世代を受け入れる住まいや働き口の確保も目指す。

   同時に震災の被害を受けた町として、防災力の向上も復興には欠かせない。復旧事業では、これまで町道や上下水道のインフラ整備を進めてきたが、今年度は追分公民館に非常用電源を確保する設備工事に着手し、災害時の備えを固める考え。早来町民センターも大規模改修し、耐震化を図るだけではなく、災害時の避難所・支援活動機能と平時に利用できる運動場・合宿施設機能を兼ねた複合施設として充実させる。その上で、公共施設の統廃合や機能集約といった行政改革にも乗り出す。

   町防災会議委員と専門職員らで構成する胆振東部地震検証本部会は6日、「地区によって復興スピードの感じ方にばらつきがある」という提言を寄せた。特に被害が大きかった早来、追分地区などでは、コロナ禍の状況も重なってか、復興を実感できていない住民も散見されるという。より町民に寄り添い、「1人の取り残しもない復興」を目指す取り組みが必要だ。震災以降、新たに生まれた地域コミュニティーの場をうまく活用し、維持・充実させていくことも不可欠になる。

   1期目に挙げた公約のうち、約8割を達成、着手したとした及川氏。今回は無投票でかじ取りを託され、「さらに重責を感じている。皆さまの支援をいただき、2期目を頑張っていく」と気を引き締める。震災復興やコロナ禍からの脱却はもちろん、次の4年間は不安を抱く町民に対し、どこまで明るい未来を示すことができるか。「教育のまち」を掲げる町長の手腕が問われることになる。

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