「世にもあきれた首長選挙」

  • 内山安雄取材ノート, 特集
  • 2022年3月25日

 この私、セブ島で奨学金事業を手がけているのだが、日本では想像しにくい珍騒動が持ち上がっている。事業でお世話になっている現地代理人の女性が、村長選挙に打って出た。前の村長が親族ぐるみで汚職や違法ビジネスに手を染め、何かと批判を浴びていたのだ。

 世論調査によると、我(わ)が代理人の彼女が75%の票を集めるだろうといわれ、当選が確実視されていた。が、いざ蓋(ふた)を開けてみれば現職が圧倒的な大差で勝利をおさめたのだ。

 いったい何があったのか? この村の有権者は5000人しかいないのに、なんと、8000人が投票したことになっているではないか!

 一つの投票箱の全てが、前の村長の票というケースもあり、誰が悪事を仕掛けたのか、いうまでもない。もちろん我(わ)が代理人は、不正な選挙だとして裁判に訴え出た。そして半年前にめでたく勝訴にこぎつける。しかし、それから1年もたつのに、彼女はいまだ新村長の座につけずにいる。ここがいかにもフィリピンらしいのだが、彼女は前村長に大金を献上し、村長の椅子を明け渡してもらわなければならないのだ。さもなければ前村長と一族郎党が、我々(われわれ)の代理人を暗殺しかねない。

 その金額をめぐって、今なお延々と交渉が続いている。我々(われわれ)の代理人が、お金を借りまくって莫大(ばくだい)な和解金を捻出するしかないのだろう。そして、そのお金を取り戻すために、彼女はこれまでの村長たちと同じように汚職をやるようになるかもしれない――なんだかそんな気がしてきた。この国の金権まみれの政治はいっこうに変わりそうにない。

 ★メモ 厚真町生まれ。苫小牧工業高等専門学校、慶應義塾大学卒。小説、随筆などで活躍中。「樹海旅団」など著書多数。「ナンミン・ロード」は映画化、「トウキョウ・バグ」は大藪春彦賞の最終候補。浅野温子主演の舞台「悪戦」では原作を書き、苫高専時代の同期生で脚本家・演出家の水谷龍二とコラボした。

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