下 盛り上がりに欠けた選挙戦 町議の成り手不足浮き彫り 女性議員らの活躍に期待

むかわ町議選立候補者のポスターが並ぶ掲示板

  4年に1度のむかわ町長選、町議選だったが、ともに投票には至らず、前回2018年に続いて15日の告示締め切りと同時に無投票での当選が決まった。町民は審判を下す機会を失い、まちづくりの議論は盛り上がりに欠けた感は否めない。

   むかわ町議の定数は06年の合併で20に定められ、その後、10年に16、14年に14と推移。前回から13となったが、2期連続で立候補者数は定数ちょうどにとどまった。今回に関しては、2月中旬の立候補予定者説明会で「選挙戦になるか、ならないか」の見通しがつきにくかった上、現職3人が引退の意向を示したことも重なり、当初は定数割れがうわさされるほどだった。新人の出馬により、結果として定数は満たしたが、「成り手不足」が浮き彫りになった。

   この問題は、今後の議席削減にもつながりかねない。ある議員は「議員にはそれぞれの地域などで役割がある。定数が減ることで住民の声が行政に反映されにくくなる」と危機感を抱く。

   さらに昨年8月には、前副議長が飲酒運転で逮捕されるといった騒動があり、「資質」面などで、周囲から厳しい目が向けられるようになった。議員は行政を厳しくチェックし、町民の声を届けるのはもちろんだが、議場の外でも真摯(しんし)な言動が必要だ。それぞれのフィールドで住民に寄り添い、議会を身近に感じてもらえるような姿が求められている。

   その一方で、期待感も膨らみそうだ。町議の内訳を見ると、現職8人、元職1人に新人4人が加わり、いい意味の刺激をもたらす可能性がある。IT関連や医療現場、教育、女性団体、まちづくり団体など地域のさまざまな分野で活躍してきた顔触れとあって、新たな視点からのアプローチを期待したい。

   また、年齢の幅が前回町議選の当選者57~75歳に対し、今回は最年少40歳、最年長79歳でかなり広がった。しかも40代2人が入ったことは明るい材料ととらえていい。さらに、現行で1人だった女性は4人に増え、これも良い意味で新たな風が吹くことが望まれる。

   竹中喜之町長の3期目は23日から、町議は4月23日から始まる。胆振東部地震からの復旧復興と、いまだ終息の兆しが見えない新型コロナウイルスによる活動自粛や経済の停滞などで、厳しいスタートになることは言うまでもない。荒波をどう乗り越え、未来への道筋を示すことができるのか。真価が問われる4年間となる。

   ※この企画は胆振東部支局・石川鉄也が担当しました。

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