岸田文雄首相は16日、首相官邸で記者会見し、18都道府県に適用中の新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」について、21日の期限をもって全面解除する方針を表明した。態度未定だった大阪府を含め、全都道府県が延長を求めなかった。17日に専門家らに諮り、正式決定する。
変異株「オミクロン株」の国内流入を受けて1月上旬以降36都道府県に適用された重点措置は、2カ月半で対象地域がなくなる。
首相は会見で「今後しばらくは平時への移行期間とし、最大限警戒しつつ、可能な限り日常生活を取り戻す期間とする」と説明。「安全・安心を確保する」ためとして、飲み薬や抗原検査キット、ワクチンの確保に2021年度予算のコロナ予備費から計1兆3500億円を支出すると表明した。
首相はワクチンの4回目接種に向け、ファイザー製7500万回分、モデルナ製7000万回分の追加購入で合意し、治療薬をさらに300万回分確保するめどが付いたと強調。医療機関への財政支援と看護職員の派遣単価引き上げについて、4月以降継続する方針も示した。
また、観光支援事業「Go To トラベル」に関し、各都道府県内の旅行を補助する「県民割」について、4月1日から近隣県と合わせた地域ブロックへ拡大する方針を明らかにした。感染防止策が取られた企業などでは、濃厚接触者の特定を今後行わない方針も示した。
首相は、飲食店に営業時間短縮や酒類提供停止を求めた今回の重点措置の効果について「飲食店のクラスター(感染者集団)がほとんど今報告されていない」として、「政策の効果は出ている」と強調した。
重点措置が解除されるのは北海道、青森、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、石川、岐阜、静岡、愛知、京都、大阪、兵庫、香川、熊本の18都道府県。15日現在、千葉、神奈川、愛知、大阪、兵庫の5府県で解除の目安となる病床使用率50%に達しているが、政府は5割超でも新規感染者が減少傾向にあれば、解除可能となるよう基準を緩和した。