新型コロナウイルス感染症の軽症患者に日帰り治療を提供する道の「医療提供ステーション」が14日、苫小牧市内に開設された。初日は自宅療養者5人が点滴で中和抗体薬の投与を受けた。運営主体の市と市医師会(沖一郎会長)は「感染症指定医療機関(市立病院)の負担軽減、地域医療の強化につながる」と強調している。
軽症者向けに重症化を防ぐ初期の治療、抗体カクテル療法を日帰りで行う道としては初めての取り組み。4月28日まで臨時的に設置する。場所は患者のプライバシー保護や、周囲の風評被害を防ぐため非公表。毎週月~土曜日の午後1時~同7時、6床体制で患者を1日最大12人受け入れる。
市によると、同施設で受け入れる患者は苫小牧保健所が決め、市が患者宅と施設の送迎を行い、感染拡大防止と患者の負担軽減を図る。この日はさっそく自宅療養者5人が治療を受けた。時間は点滴が1人当たり40~50分ほど、その後の健康観察も含めて2時間程度。
事業を受託し、施設の運営業務全般を担う市健康支援課の吉田陽輔課長は「初日から患者の案内、送迎、治療と一連の流れをスムーズにできた」と説明。コロナ病床を持つ市立病院と苫小牧日翔病院の負担軽減を期待しており、「日帰り治療でより多くの患者に対応できる。医療提供体制が充実した」と力を込める。
東胆振地域ではこれまで療養施設もなかったため、市と市医師会は道に初期治療施設の開設を強く求めていた。沖会長も「ハイリスクではない患者が、日帰りで簡単に点滴治療できるようになった」と喜ぶ。その上で「道、市との連携、協力で新しい仕組みをつくることができた。仮に今後『第7波』が来ても安心してもらえる医療の提供に努める」と話している。