道内の高校の入試が一段落した。合否発表を待つ生徒たちは今、期待と不安の入り交じった気持ちでいるだろう。
今年度の受験生は新型コロナウイルスの感染拡大に大きな影響を受けた。1年生の3学期にマスク生活が始まり、道独自の緊急事態宣言で長期休校を体験。2年生からは、国の緊急事態宣言でたびたび長期休校になった。学習の遅れは自主的な予復習などで補わざるを得ず、自力で学習リズムを整え、意欲的に学び続けるのは難しかったに違いない。受験生全員が同じ状況だったことは、救いになっただろうか。
10代半ばにとって高校入試は、人生を決める大ごとに思えるだろう。ただ、この先、学力や精神力を問われることは何度もある。完全制覇できれば周りの期待を背負ってスターになっていくし、できなくても自分の努力は自分で知っているのだから、その確信を胸に蓄えた力を今後に生かしていけばいい。「人生は競争じゃない。脇目もふらずに生きるのは面白くないでしょう。自分のペースで散歩をすれば、長い距離だって歩けます」は、心理ジャーナリスト山崎雅保さんの言葉だ。
人の数だけ生き方がある。必死に努力したことが報われるとは限らないし、一つの成功がバラ色の人生を一生保証してくれるわけでもない。受験後の生徒には、自分らしい生き方をつかみ取っていくステップとして入試を捉え、15の春を賢く乗り越えていくことを望む。(林)