執念の首位通過、攻守で見えた課題も―IH女子・スマイルジャパン総括〔北京五輪を振り返って(中)〕

アイスホッケー女子1次リーグのチェコ戦、パックを奪う高(手前)=8日、北京(時事)

  2連勝の真価が問われた中国戦。スマイルは苦戦を強いられ、連勝がストップした。ゲームウイニングショット(GWS)にもつれる激闘の末、1―2の惜敗。力負けではなかったが、終盤の悪い流れを修正できなかった。

   中国代表についての事前情報は皆無に等しかった。半数近くが北米出身とされたが、代表選手が報道陣の前に姿を現すことはほぼなく、陣容を把握することは難しかった。飯塚祐司監督は「誰がパスポートを取得したのか確かな情報はなかった」と情報不足も悔やんだ。

   試合は日本が先手を打った。第1ピリオド18分、数的優位なパワープレーのチャンスを逃さず、DF細山田茜(道路建設ペリグリン)のゴールで先制。いい形で1ピリを終え、日本がペースをつかんだように見えた。

   しかし、2ピリ以降は足踏みが続く。日本は追加点を奪うべく攻め立てたが、決定的な場面を演出できなかった。3ピリに入って不運なゴールで同点に追い付かれると、勢いに乗った中国の猛攻をしのぐのが精いっぱい。延長に入っても決定機は少なく、GWSも流れを変える選手はいなかった。

      ◇  ◇

   自力での予選首位通過を懸けて挑んだチェコ戦。2戦連続のGWS戦の末、3―2で辛勝。流れをつかみ切れない苦しい展開だったが、執念の勝ち点2をもぎ取り、予選1位を確定させた。

   先制したのは日本だったが、2ピリ以降は中国戦同様、チェコに押し込まれた。3ピリを終えて2―2。日本はパワープレーで2点を取ったが、失点はどちらも5対5の状況だった。飯塚監督は「完全に崩された失点ではなかったが、パワープレーで取って逃げ切れないのは今後の課題」と指摘した。

   延長戦でも決着はつかずGWSでFW久保英恵(SEIBUプリンセスラビッツ)が決めて勝利。久保は「何もできていなかったので、最後に決めることができてよかった」と底力でチームを押し上げた。36本のシュートを受け止め、GWSでもファインセーブを連発したGK藤本那菜の貢献も大きかった。

  (石井翔太)

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