北京冬季五輪のアイスホッケー女子は、スピードとパワーに勝るカナダの優勝で終わった。日本は予選グループBを1位で通過し、史上初の決勝トーナメント進出。準々決勝で今大会銅メダルだったフィンランドに敗れて6位だった。4年に1度の大舞台で躍動したスマイルジャパンの奮闘を振り返る。(石井翔太)
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快進撃のきっかけにもなった予選リーグ初戦。スマイルは難敵だったスウェーデンに3―1で勝利し、白星スタートを切った。
日本の持ち味である守りから攻撃に転じる「トランジション」の速さを発揮した試合だった。敵陣でもパックを果敢に奪う積極的なチェックも機能、相手のミスを誘う場面もあった。
堅守は第1ピリオド、今大会第1号のDF小池詩織(道路建設ペリグリン)のゴールにつながった。DFながらゴール前まで詰めていた小池の判断が光った。
2ピリ開始直後に失点して同点に追い付かれたが、飯塚祐司監督の指示通り集中を切らさず、2ピリのシュート数を7本に抑え込んで追撃を許さなかった。
同点で迎えた3ピリにFW浮田留衣(Daishin)が持ち味の突破力でゴールを決め、勝ち越しに成功。終盤はスウェーデンの6人攻撃の隙にFW米山知奈(道路建設ペリグリン)が五輪では2014年のソチ大会以来のゴールを決めた。
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2戦目はデンマークに6―2の快勝。18年の平昌五輪後、最大の課題としてきた得点力不足克服を印象付ける試合となった。
序盤から日本ペースで試合が進んだ。第1ピリオド、FW山下光(SEIBUプリンセスラビッツ)のゴールで口火を切ると1分程度の間隔で3点、一気にチームに勢いをもたらした。
試合の合計シュート数は42本とそれほど多くはなかったが、効率良く得点を挙げた。飯塚監督は「強豪国は10本に1点くらい取ってくるイメージ。40本程度で4点以上を取れたことは大きい」とうなずいた。
昨年の世界選手権では試合終盤で得点が停滞する試合が多かったが、この試合では全ピリオドでゴールが生まれた。「若手も含めてチーム全体でバランス良く点が取れたことはポジティブな結果」(飯塚監督)と上位進出へ期待が膨らんだ。