苫小牧保健所は「みなし陽性」の運用をめぐり、事実上の導入先送りを続けている。感染者の家族など同居している濃厚接触者は11日現在、すべて検査の対象にしており、同保健所は「検査ができる限り、対応している」と説明する。一方、その検査で一度陰性になりながら、その後症状が出た人には「みなし陽性」の適用を始めており、地域で混乱が生じないよう徐々に対応を移行している。
鈴木直道知事は3日、新たな変異株「オミクロン株」の急拡大を受け、感染者の家族など同居している濃厚接触者で発熱など症状があった場合、検査せずに医師が感染者とみなす「みなし陽性」の運用を全道で始めると発表した。
苫小牧保健所は同日以降も濃厚接触者の検査を続行し、7日からは陰性判定後の発症者に「みなし陽性」を適用している。ただ、感染拡大が止まらず検査数は膨らむ一方で、結果の判定や陽性者への連絡に時間がかかり、問い合わせの電話がひっきりなしに鳴る悪循環という。
同保健所は「陽性者には必ず保健所から連絡するが、感染拡大で待たせてしまうケースが増えている」と理解を求め、検査体制が逼迫(ひっぱく)している現状から「みなし陽性の運用を徐々に進めていきたい」としている。
みなし陽性は統計上は感染者として数え、取り扱いは疑似症患者とする。苫小牧保健所は対象を重症化リスクのない人とする一方、年齢やワクチン接種の有無では対応を分けない方針。疫学調査で聞き取りした内容によって検査を実施するなど柔軟に対処する。
疑似症患者の健康観察は感染者と同等で、スマートフォンのアプリを使い、毎日の体温などのデータを保健所が確認する。一方、疑似症患者がコロナの治療を受けるには、検査で陽性と判定されることが条件のため、医療機関の受診が必要になる。