【北京・石井翔太】北京冬季五輪のアイスホッケー女子は6日、予選1次リーグが行われた。グループBの日本は中国にゲームウイニングショット戦の末に敗れたが、勝ち点1を積み上げて7、史上初の決勝トーナメント進出を決めた。日本は8日、予選首位通過を懸けてチェコと対戦する。
6日
▽予選リーググループ
中 国(勝点5)2―1日 本(勝点7)
▽得点者【日】細山田(小池、大澤)▽GK【日】藤本
日本は第1ピリオド18分、数的優位のパワープレーからDF細山田のミドルシュートで先制。第3ピリオドに追い付かれると、延長戦に突入。ゲームウイニングショット戦までもつれたが、惜しくも敗れた。
▽同A
米 国(勝点9)8―0スイス(勝点0)
5日
▽予選リーググループB
日 本(勝点6)6―2デンマーク(勝点0)
▽得点者【日】山下光(三浦、小池)床秦(志賀葵、床亜)浮田、床亜(床秦)志賀紅(久保、床秦)米山(山下光、小池)▽GK【日】藤本、小西
地力に勝る日本が試合を支配。シュート数は2倍以上の42本を放つ攻勢で優位に立った。第3ピリオドはFW米山のゴールで突き放した。
チ ェ コ(勝点6)3―1スウェーデン(勝点0)
▽同A
カ ナ ダ(勝点6)11―1フィンランド(勝点0)
米 国(勝点6)5―0ロ シ ア(勝点3)
― 中国戦 「リズムに乗れなかった」
第1ピリオドから中国に押され気味の苦しい展開だった。FW大澤ちほ主将は「中国はスタートからいいエネルギーを持って挑んできた。日本のスコアにはなかなかつながらなかった。淡白な攻撃で終わることが多く、リズムに乗れなかった」ともどかしい試合を振り返った。
日本の攻撃はしつこさにも欠けた。特に終盤は中国の守備を切り崩してゴール前の混戦に持ち込むような展開は少なかった。
しかし、連戦の疲労を抱えながらも執念の勝ち点1をもぎ取ったことは大きい。試合終了までパックに食らいつく粘り強い守りを見せた。飯塚祐司監督は「最後まで走り切って最低限の仕事をしてくれたことは評価したい」と前向きだ。
形はどうであれ、決勝トーナメント進出を確定させ、最低限の結果を残した日本。8日のチェコ戦勝利による1位通過の道も残されている。飯塚監督は「チェコに60分勝ちできるように気を取り直したい」と切り替えた。
― 鳴りを潜めた日本らしさ
会場に響き渡る「加油」の地元の大声援に、連戦の疲労。日本は流れに乗れないままに延長を戦い、ゲームウイニングショット戦で力尽きた。「勝ち点3を取れる試合だった。自分たちのミスで相手に流れを渡してしまった」。GK藤本菜は初の8強入りを決めても険しい表情を崩さなかった。
米国やカナダなどの出身選手が並ぶ中国の陣容に「アメリカの大学生とやるイメージだった」と藤本那。第1ピリオド終盤に先制はしたが、単発のシュートが多く、相手GKがはじいたパックになかなか絡めない。
第3ピリオドに自陣でパスを奪われ、打たれたシュートのこぼれ球を押し込まれて同点に。前の2戦で見せたようなスピード、1対1の強さはこの日は鳴りを潜めた。
―[デンマーク戦]山下光がゴールの口火
日本は昨年の世界選手権でデンマークから1点しか奪えずに苦戦した。その唯一のゴールを決めた五輪初選出のFW山下光(SEIBUプリンセスラビッツ、駒大苫小牧高出)がこの試合で口火を切った。「絶対決めると挑んだ」試合でゴールラッシュの流れをつくった。
第1ピリオド10分、パックを持つと持ち味のスピードで一気にゴール前に飛び出し、GKをかわしてゴールに放り込んだ。「空いている所に打っただけ。ノープランでした」と声を弾ませた。デンマークとの相性の良さを感じさせる先制ゴールだった。
FW志賀紅音(トヨタシグナス)も五輪初ゴールを決めた。ゴール付近でFW久保英恵(SEIBUプリンセスラビッツ)からのパスに反応した。「先輩がつないでくれた」と喜んだが、「他のスコアチャンスで決められなかったことは反省点」と気持ちは次戦に向かっていた。飯塚監督は「いいところで決めてくれた。本人もほっとしたんじゃないか」と話していた。