2緊急事態宣言と飲食店 「不公平さと違和感」

  • 特集, 記者ノートから2021
  • 2021年12月14日

  今年、繰り返された新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言とまん延防止等重点措置。苫小牧市内で長年、飲食店を営む店主らは「こんな寂しい街は初めて」「(自粛要請で)バイトも考えたが、年齢的に雇ってもらえるとは思えない」などとため息を漏らし、葛藤を抱えながら過ごした1年だった。

   緊急事態宣言がようやく解除された10月の最初の週末。重い自粛ムードから解き放たれた市民らで苫小牧の夜の繁華街は活気づいた。店主らに話を聞くと、第一声は決まって「常連さんに会えることがうれしい」だった。

   一方、宣言期間中、外向けには時短でクローズしたように見せ掛け、実際は明け方近くまで営業を続ける店もあった。耳を澄ますと店内から音楽や笑い声が聞こえ、要請を順守して必死にもがく店主たちとの間に「不公平さと違和感」を感じることがあった。

   コロナ下、2度目の忘年会シーズンにも、暗雲が立ち込める。新たな変異株「オミクロン株」の感染が国内でも確認され、飲食業界は「また(感染拡大が)繰り返されるのか」と戦々恐々。昨年同様、大人数での会食を避ける企業・団体は多い。コロナ対策を進める飲食店の「第三者認証制度」についても浸透しているとは到底言えない。

   想定よりも多くの忘年会予約が入っているという店も少なくないが先日、ある店主から「(経営難で)来年、店を閉める」と聞かされた。第三者認証がコロナ禍で苦境に立つ飲食業界に希望をもたらすのかは未知数。「認定を受けて何が変わるのか」といった懐疑的な声も数多く聞いた。まだコロナ終息は見込めないのかもしれないが、来年はこんな悲鳴や重いため息が飲食店から聞こえてこない1年になることを切に願う。

  (小笠原皓大)

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