苫小牧市は22日、8月の全国高校選抜アイスホッケー大会で発生した新型コロナウイルスの大規模クラスター(感染者集団)の検証結果を踏まえ、感染症拡大防止に関する基本方針の見直しを明らかにした。開催可否を判断するための連絡体制確立のほか、事前のPCR検査や出場チームごとの監視員の配置も盛り込む。30日開会の市議会定例会で岩倉博文市長が行政報告する。
市長は22日の定例記者会見で「改めておわびを申し上げる。二度と大会などでクラスターが発生しないようしっかり取り組む」と強調した。
基本方針の見直しは来年度の大会開催に向け、できるだけ早期に確定し、市ホームページで公表するとした。見直しの主なポイントとして、同大会では感染判明時の中止の基準がなかったことから、実行委員会が随時判断できる体制を整え、保健所や医療機関との連絡体制も構築することを挙げた。事前のPCR検査または抗原定量検査の実施も盛り込み、総合政策部の木村淳部長は「費用面のこともあるが前向きに検討する」としている。
宿泊先や会場内での行動で指摘された感染リスクについては、各チームに感染防止対策担当者の設置を求め、監視員も配置する方針を打ち出したが、違反が判明した場合でも「厳しいペナルティーは望ましくない」(木村部長)と慎重な姿勢を見せた。
市内全4カ所のリンク施設の今後の換気対策も示した。白鳥王子アイスアリーナの検証では、リンク上に冷気がたまりやすく、ベンチの透明パネルを取り外し、扇風機で空気をかき回すことによって「感染しやすい環境を改善できる」との結論が出された。このため4施設合計で大型扇風機43台、送風機21台、送風機ダクト42本、空気清浄機59台を導入する計画で、定例会に提出する2021年度一般会計補正予算案にスポーツ施設整備費549万円を計上した。
●感染症拡大防止に関する基本方針の主な見直しポイント
(1)大会開催可否判断
実行委員会としての連絡体制を確立し、随時判断を行う体制づくり。保健所や医療機関等との連絡体制を構築し、調整、協議できる体制づくり。
(2)感染対策
PCR検査または抗原定量検査実施およびワクチン接種の推奨。各地域の感染状況やウイルスの感染力に関する情報収集。
(3)健康観察の徹底
各チームに感染防止対策担当者の設置。関係者すべての名簿提出や連絡先等の情報集約。練習試合や外部との接触の制限。体調不良者や疑い症例発生時の実行委への迅速な報告の徹底。
(4)大会会場内の行動監視
チームごとの監視員の配置。
(5)宿泊施設
選手同士等の接触を避けるための宿泊施設の調整。食事会場や大浴場の使用時間を指定する。