(2) 小学校中学年の部・最優秀賞 ぼくとカラスの仲直り 苫小牧拓勇小3年 京極(きょうごく) 大空(そら) 君

  • 夏休み読書感想文コンクール, 特集
  • 2021年11月3日

  「ぼくのアイス返せよ」。まず、カラスにそう言いたい。四さいのぼくは、動物園でカラスに追いかけられた。ぼくは転んでアイスを取られたのだ。泣いているぼくを見て「そんなの知るかよ」という顔で仲間を集めてアイスを食べていた。ぼくは忘れていないぞ。

   それ以来、ぼくはカラスが大きらいだった。また何か取られるのではとおびえ、カラスを見るとにげた。通学路で待ちぶせされると、「ふざけんな、通せよ」と心の中でさけんだ。「カラスのいいぶん」そんなのあるのか。だってカラスはきらわれ者。この間もゴミをちらかし、ぼくは困ってけいさつに走った。

   この本を読んでから、ぼくはカラスの動画をあきるほど見た。曲に合わせてカーカー鳴くカラス、食べ物をかくすカラス、英語の単語を話すカラスまでいた。「すごい」としか言葉が出なかった。カラスののうは大きくて八さいの知のうがあるそうだ。今のぼくと同じ年ということだ。もう、びっくりしかない。

   今まで気にもとめていなかったぼくの目はカラスを追い、耳をすまして鳴き声をさがしていた。すると「カー」と「グガァ」があることに気づいた。一体何がちがってどんな意味があるのだろう。調べてみると、あいさつや集合、ケンカもあった。感心することばかりだ。そればかりではない。ぼくより早起きで頭を使い、ぼくよりずっときそく正しい生活をしている。カラスの方がはるかに上手だ。そう考えてみると、ごみをあさっているのにも、子育てという理由がある。ぼくだって食べなければ死んでしまうし、母がご飯の用意をしてくれる。多分それと同じだろう。「いつか仕返ししてやろう」といううらみは、いつの間にかきょう味へと変わっていた。何も知らずに決めつけてはいけない。いい所やすてきな部分が、だれにでも必ずあるのだ。

   今年の春、熊が町におりてきた。森には食べ物がなくなり、食べ物を求めて来たのだ。今、森は木を切られ、ソーラーパネルが出来、人間が住みやすいように変えられている。熊が住める森を守る、ぼくに出来ることはないだろうか。熊の研究をしている北大の准教授、下鶴先生にメールで質問した。食べ物がほしくて人をおそった熊は、殺されてしまうそうだ。それでいいのか。ぼくたち一人一人がゴミの始末、食べのこし、かんきょうを守ろうとする意しきがあれば、カラスがごみをあさることもへり、熊も森に帰り生き物との「共生」につながる。ぼくは下鶴先生に、この先もずっときょう味を持って、その輪を広げてほしいという言葉をもらった。ぼくは人間も動物も仲良く共生し合える社会を作っていきたい。そのために人間がもっとかんきょうを守り、自然を守り、森を守るべきなのだ。

   考えてみればアイスを取ったカラスも「子どもにおねだりされたんだ、ごめんね」と言いたくて、ぼくを見ていたのかもしれない。

   ぼくは共生に向かい「カラスや熊のいいぶん」をこれからも伝え、広めていきたい。

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