12万年前にアフリカや西アジアで誕生したビーズは、徐々に世界各地に拡散していった。日本列島にはいつ伝わったのかは明らかではないが、日本列島で最古級とされるビーズは北海道で発見されている。道南の知内町にある「湯の里4遺跡」から発掘された石製品である。約2万年前とされる旧石器時代の地層から一括で出土した4点で、一緒に出土した石器類10点とともに1991(平成3)年に国の重要文化財に指定されている。
今回の展覧会では、このビーズ4点を展示している。1点は、不整形で艶のある黒色。長さ30ミリ、幅12ミリ、厚さ10ミリで、径3ミリの穴が開いている。ほかの3点は円形で大きさは径5~7ミリ、厚さ3~5ミリで、穴の径は3ミリ。2点が薄緑色、1点が黒色である。この小さな石にどのようにして穴を開けたのか、技術の高さに目を見張らされる。
2万年前は氷河時代。当時の人たちがこのビーズをどのように身に着けていたのか、想像が膨らみませんか。
(国立アイヌ民族博物館研究学芸部長・藪中剛司)
民族共生象徴空間(ウポポイ)中核施設・国立アイヌ民族博物館(白老町)の特別展「ビーズ アイヌモシリから世界へ」は12月5日まで開催。観覧料(ウポポイ入場料は別途必要)は大人300円、高校生200円、中学生以下は無料。休館日は毎週月曜日。