スマートフォンに子どもたちから届くメッセージ。「つらい、死にたい」という文字が並ぶ。NPO法人子ども総合支援ネットワーク代表理事の畠山俊彦さん(46)は「生きることに悩み、苦しむ子どもたちが、幸せに暮らせる社会を実現できる政党や候補者を選びたい」と語る。強い願いを込めて、一票を投じる考えだ。
不登校をはじめ、友人や家族関係、学習の遅れに悩む子どもの居場所をつくろうと、2017年に団体を設立した。農園活動や学習支援を展開し、昨年からは新型コロナウイルス禍で学校生活が一変した子どもたちとの接点を持とうと、公園に出向いて居合わせた子どもと遊んだり、カレーライスを振る舞ったりするアウトリーチ事業にも力を入れている。
一連の活動で見えてきたのは、「社会にまん延する不安やいら立ち、怒りや悲しみなどのしわ寄せが、子どもたちに向かっている」という現実だ。常にいらいらして友達とけんかが絶えない子どもや、帰宅したがらない子どもも多い。「死にたい」と訴える子どももいる。「社会全体が余裕を失い、子どもの気持ちが置き去り」と感じている。
文部科学省によると2020年度、全国の小中学校の不登校者数は19万6127人。小中学校や高校から報告された自殺者数は415人で、いずれも過去最多を更新した。畠山さんは「尋常ではないことが現実に起きている。未来を担う世代に今、目を向けなければ、日本社会は大変なことになる」。子どもに関する各政党の公約を、じっくり見極める日々が続く。
(姉歯百合子)