苫小牧市で8月上旬に開催した全国高校選抜アイスホッケー大会で新型コロナウイルスの大規模クラスター(感染者集団)が発生した問題について、市は国立感染症研究所(東京)から▽会場内の換気が不十分だったことが感染拡大に影響した可能性がある▽参加チームに感染対策を徹底させる必要があった―などの報告を受けたことを明らかにした。2日に開会した市議会定例会で改めて対策の甘さを認め、早急に改善を図る考えも示した。
同日の一般質問で、池田謙次氏(公明)と岩田薫氏(民主クラブ)が問題を取り上げた。
8月18日に現地入りした同研究所の調査は継続中だが、市は同25日に「暫定報告」として、(1)参加者や関係者への健康観察の徹底(2)感染疑いが出たときの主催者の早期対応(3)感染を起こしにくい競技環境や宿泊施設の確保―などの提言を受けたという。
市によると、大会で使用した白鳥王子アイスアリーナなど3会場について、同研究所から「リンクコンディションを優先させたことが、感染拡大に影響した可能性がある」との指摘を受けた。期間中は30度を超す日が続き、市は外気の影響を最小限に抑えるため、控室などの窓やリンクのドアを極力開放しないようにしていたとし、早急に改善する考えを強調した。
また、市はインターハイなどを参考に感染拡大防止の基本方針を作り、各チームに示していたが、同研究所は「チームごとに監視役を付けるなど、選手や関係者に徹底させる必要があった」との見解を示した。
参加者の感染が判明しながら大会を続行した点についても、木村淳総合政策部長は「安全確保のため、保健所などの意見を聞いた上で大会中止の判断も必要だった」とミスを認めた。
同研究所は、各チームの感染対策の違いなどを確認するアンケート調査を実施した上で、最終的な調査報告をする予定という。
市によると、大会には26チームが参加し、感染者は市内3、道内5、道外8の計16チームと大会関係者計150人に上り、うち生徒だけで132人に達した。
岩倉博文市長は「深くおわび申し上げたい。大会の実行委員長として責任を痛感している」と陳謝。「いろいろと欠けていることがたくさんあったと反省している。アイスホッケーや他の競技に影響させないようしっかり検証したい」と再発防止を誓った。