少なくなったコガネムシも

  • 教えてムラさん, 特集
  • 2021年8月9日
スジコガネ

  Q「この夏、家の周りでコガネムシをよく目にします。大量発生しているのですか」

   A よく目にするコガネムシにはスジコガネ、オオスジコガネ、ヒメコガネなどがいます。これらのコガネムシは街灯によく集まり、室内にも飛び込んできます。しかし、30年ほど前にはよく見られたシロスジコガネやドウガネブイブイのように、とても少なくなってしまったコガネムシもいます。

   昆虫を含め野生生物の種類、生息数は自然環境の変化に大きく左右されます。そのため関心を持って観察していれば自然環境の変化を知ることができます。ぜひ続けて見ていってください。「よく目にする」というだけでは、個人差もあるので大量発生かどうかを判断することはできません。ただ、目にすることの多いコガネムシが同じ種類に偏っているならば、周辺にある植物が原因かもしれません。コガネムシは種類によって成虫や幼虫が食べる植物などが決まっているからです。

   私は50年以上昆虫を観察してきましたが昆虫は増えているのではなく、少なくなっています。それも急激に少なくなっています。本州では赤トンボ(アキアカネやナツアカネなど)が見られなくなった地域も報告されています。

   世界的にも昆虫の減少が深刻な問題として話題になっており、特定の農薬や殺虫剤の使用禁止が始まりました。国際的に評価の高い「ナショナル・ジオグラフィック(日本版)」(2020年5月号)の特集「昆虫たちはどこに消えた?」でも取り上げられていました。ぜひ一読してみてください。図書館にもあります。

  (文とイラスト ゆうふつ原野自然情報センター・村井雅之)=随時掲載

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