平均寿命や健康寿命という言葉を聞いたことはあるでしょうか? 平均寿命は生まれてから何年生きられるのかを表した数値、健康寿命は健康で自立した日常生活を送ることができる期間を表しています。日本人の平均寿命は、2016年の調査で男性80・98歳、女性87・14歳、健康寿命は男性72・14歳、女性74・79歳と報告されており、おおよそ男性は9年、女性は12年もの間、寝たきりや要介護の状態であったりします。
では、どのように健康寿命を延ばし、少しでも平均寿命との差を小さくするのか―、医科や歯科でも取り組みが行われています。簡潔に言うと、必要なのは「適度な運動」と「十分な栄養」になります。骨や筋肉が衰えてくると体を動かすことが嫌になり、ますます骨や筋肉が衰え、日常生活での自立歩行や立ち上がりに支障が生じ、転倒や骨折のリスクが高くなります。さらに衰えが進行してしまうと、いわゆる寝たきりの状態になってしまいます。
体の筋肉だとイメージしやすいですが、歯科の領域だと、かむための筋肉、舌を動かすための筋肉、飲み込むための筋肉が、これに該当します。毎年、お餅が喉につかえて亡くなってしまう方のニュースを目にしますが、これも単に飲み込みにくい食品ということだけではなく、気が付かないうちにこれらの筋肉が衰えていることも影響しています。
最近、食べ物を飲み込みにくくなったり、つかえるようになった、または食事の時によくむせたり、滑舌が悪くなったと感じることはありませんか? 歯科でも「口腔(こうくう)機能低下症」という病名で、これらの筋肉の衰えを検査することができるようになっています。かかりつけの歯科医院にご相談ください。
(苫小牧歯科医師会地域保健部会)