㊦新たなルール、団体側も苦心~成果披露の舞台 万全の体制で用意

  • コロナとスポーツ~ウイルス禍2年目の展望~, 特集
  • 2021年4月29日
検温など観戦手続きを徹底させて各種大会を有観客開催している苫小牧陸上競技協会

  2020年度は新型コロナウイルスの影響で全国高校総体、全国中学校大会をはじめ、市内の各種地区大会など多くの集大成の舞台が失われた。各スポーツ組織は今年度、地域アスリートの成果披露の場を確保しようと、感染症対策に苦心を続けている。

   屋内、屋外競技問わず大半の組織はコロナ禍前と同様の大会日程を組んだ。すでに土曜、日曜の週末になると市内各所でさまざまな競技大会が開かれ、選手たちの躍動する姿が広がる。

   感染症対策は競技によってさまざまだ。苫小牧剣道連盟は、全日本剣道連盟の指針に基づいて試合中に対戦者同士が最接近する「つばぜり合い」の回避を促す。万が一選手間で解消できない場合は審判がすぐさま「分かれ」という宣告をし、両者の間隔を確保させる。田中真人事務局長は「選手も指導者もしっかりルールを理解して臨むことが重要」と周知を図る。

   少年野球の苫小牧スポーツ少年団野球専門部会は、主要会場となる市少年野球場のベンチ収容数を15人から20人に緩和する。飛沫(ひまつ)防止のため声を出した応援が自粛されている分、「チーム一丸になって戦ってもらいたい」(長谷川慎事務局長)との思いからだ。

   観客の有無は競技性などで異なる。屋内スポーツの陸上は、苫小牧陸上競技協会が来場者にチェックリストへの氏名や連絡先記入、検温を実施した上で各種大会を有観客で開いている。

   併せて、体温計をかたどったマークに「検済」と記された2センチ四方のシールを配布。「選手も観客も安心して大会に参加してほしい」との思いで昨年から導入し、今年度はシールをよりコンパクトにしてマスクに貼れる工夫を加えた。「感染症予防の意識づけにもなる」と板谷良久理事長は期待する。

   一方バドミントン、バレーボールなど屋内競技は昨年度に続いて無観客開催を継続するところが多い。苫小牧地区バドミントン協会の平井俊輔理事は、道協会など上部組織の指針や地域の感染状況などを鑑みながら「せめて保護者の方だけでも観戦できるようになれば」と模索する。

   苫小牧バレーボール協会は昨年度の数試合をSNS(インターネット交流サイト)上で試験的にライブ配信した。「選手たちが活躍できる場を準備するのはもちろん、保護者などに試合を見てもらえる環境も整えたい」と川口智将理事長は話す。

   競技力強化は昨年は停滞した。苫小牧卓球連盟は、22年に市内開催される全国中学校大会に向け中学生の強化を図ろうとしていた。昨年秋の大会成績を基に男女16人ずつを選出し、月1回ペースで練習会を予定していたが、感染症の影響で一度もかなわなかった。青木一茂事務局長は、今年の大会成績などで選考の見直しを行いながら「遅くても秋には練習会をスタートできるようにしたい」と語った。

  (おわり)

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