11 苫小牧市文化団体協議会 小林洋一会長(76) 時代に合わせた創作活動 行事開催へ知恵絞る

  • コロナ禍を乗り切る, 特集
  • 2021年2月5日
「文化芸術活動の火を絶やしてはいけない」と話す小林会長

  新型コロナウイルス禍は、苫小牧市民の文化芸術活動も直撃した。文化芸術団体の多くが活動の自粛を余儀なくされ、昨秋の市民文化祭は予定していた行事の約半数が中止になった。市文化団体協議会(文団協)の会長で、市民文化祭実行委員長も務めた小林洋一さんは「時代に合わせた新たな創作活動が求められている」と話す。

   道の緊急事態宣言を受けて昨年3月、多くの文化芸術団体が活動拠点にしている市内の公共施設が一斉休館した。施設の再開後も「密」が避けられないなどの理由で、活動を自粛する団体が目立った。小林会長は昨春の文化芸術活動について「3、4月の2カ月間は、ほぼ停滞していたと言っても過言ではない」と振り返る。

   昨年は4月に文団協創立50周年の記念式典を計画していたが、市内でも感染者が後を絶たず延期に。8月に苫小牧東高校OBで直木賞に輝いた作家馳星周さんの記念講演会に合わせて式典を行うことができたが時期未定のまま延期を決断したことは、関係者にとっては断腸の思いだった。

   苫小牧における一大文化イベントとして毎年秋に開催される市民文化祭も、計画していた23行事中11行事を取りやめた。特に市民合唱祭や市民吹奏楽祭、バレエ、ダンスなどを披露する「洋のステージ」などステージ行事は十分な感染予防対策を取れない恐れから軒並み中止に。出展作品が集まらないなどの理由で、勇払や樽前など市内4地区の文化祭も見送られた。

   一方、文団協の創立50周年を記念し、大正から平成までの苫小牧文学100年の動きを網羅した「苫小牧文学の歩み」を昨年10月に発行した。市内の文学関係者にとっては念願の冊子で、小林会長は「未来の市民に役立つような冊子。コロナ禍にあってもつくり上げることができた意味は大きい」と語る。

   その上で「今年も文化芸術活動を取り巻く情勢は大きく変わらないだろうが、私たちには昨年の経験がある」と強調。「文化活動に取り組む市民みんなで『どうしたら行えるのか』という視点で知恵を出し合い、この難局を乗り切りたい」と力を込める。

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