ホテルや旅館など宿泊施設も、新型コロナウイルス禍に苦しんできた。観光客や出張客らが宿泊する機会が減り、昨年2月から稼働率や売り上げが減少。苫小牧市内の10施設で構成する苫小牧ホテル旅館組合の佐藤聰組合長は「3~5月は50%以下になった」と語る。道や国の緊急事態宣言、それに伴う外出や往来の自粛、予約のキャンセルなどコロナの影響は大きく、変化の激しい1年を強いられた。
6月以降は出光興産北海道製油所が4年に1度行う大規模定期補修工事、シャットダウンメンテナンス(SDM)をはじめ、地場企業の活発な経済活動で、宿泊利用は道内他地域に比べると順調に回復した。
7月からは政府の観光需要喚起策「Go To トラベル」もあって稼働率は目に見えて上昇。7~9月は前年同期比で70~80%、10月は80%まで戻った。各施設は消毒などコロナ対策を徹底させて利用客を受け入れた。
しかし、道内で感染が再拡大し、11月以降は再び、利用が落ち込んだ。施設によっては雇用調整助成金を活用し、従業員を休業させながら運営している。
佐藤組合長が経営するホテルも日頃、学生や社会人のスポーツ合宿、本州企業の出張が多いが11、12両月の稼働率は前年の半分程度になった。
いまだにコロナの収束が見通せない中、「個人の予測」と前置きしつつ「ワクチンの接種が進み、インバウンド(訪日外国人旅行者)が戻ったとしても、日本人の自粛の心は簡単に取り除けない」と指摘。今年7月に東京五輪が予定通り開催された場合、マラソンや競歩などは札幌市で行われるが、苫小牧への影響は大きくないとみている。
上部団体は「Go To トラベル」事業の恩恵が大手に偏らないようにするなどの見直しを国に求めているが、佐藤組合長は「宿泊客は100%は戻らないのではないか。80%で施設を運営できるよう、経費を見直す覚悟が必要になる」と強調。厳しく現状を見積もりながら、コロナ禍を乗り切る構えだ。